エコツアーガイドライン
1.経緯
石垣島への観光入込客数の増大や自然・体験志向など観光客のニーズの変化により、今後、沿岸レジャーへの参加者が拡大していくことが予想される。参加者数の増大は、沿岸レジャー事業にとって採算性の向上や経営の安定にとってメリットであるが、その反面、参加者の安全確保、フィールドへの環境負荷の回避、フィールドを利用する地域住民の皆さんとの調和などが課題となることが考えられる。
そこで、石垣島沿岸レジャー安全協議会(以下、本会とする。)では、会員それぞれの意識や技術の向上を図り、会員相互の協働・連携体制を確立するとともに、「安全対策・環境保全・地域共生」の3つを柱としたガイドラインを策定し、良質なプログラムを提供する。
2.ガイドラインの目的
沿岸レジャー事業者の地位向上、持続可能な観光の発展に寄与するために、本会会員の安全対策・環境保全・地域共生レベルの向上を図ることをガイドラインの目的とする。
3.基本理念
私たちの目指す沿岸レジャーは、参加されるお客様の満足度はもちろんのこと、参加いただく皆さんの安全確保(安全対策)と活動の場となる石垣島の豊かな自然と多様な生態系を維持・向上させること(環境保全)、さらには島に暮す皆さんに認められ、喜んでもらえるような事業(地域共生)でなければならない。
■地域共生ガイドライン■
沿岸レジャー協議会の活動に対する理解を得るとともに、地域の資源を活かし100年後へ継げる事を目的に地域共生ガイドラインを設ける。
1.地域生活・文化・景観への配慮
@プログラムを催行する場合、地域の文化風習を重んじる内容とする。
Aプログラムを催行するにあたり、公民館長や有識者・公共機関等への確認・協議を行う。
B聖域や狩猟場、漁場などへの立ち入りを控える。
C漁獲や採取など地域住民の生活を脅かす行為をプログラムとしてはならない。
D地域の景観を著しく損なう行為はしてはならない。
2.地域への還元
@地域が失った知識や技術などの資源を再生し次世代へ継承する。
A使用するフィールドの定期的な清掃活動など地域環境の改善に積極的に取り組む。
B地域活動に積極的に参加し、協力を惜しまない。
C協議会の考えるECOを周知するプログラムの開催や啓発活動を実施する。
3.公共のマナーを守る
@公共の場所を使用する際は、周囲の迷惑にならないよう注意する。
A集落や農地など地域住民の生活空間へ立ち入る際は、プライバシーへの配慮を図る。
B活動中に出したゴミは持ち帰り処理することとする。
C喫煙については、場所や吸殻の処理などに十分注意する。
■安全対策ガイドライン■
沿岸レジャーでの事故を防止するため、安全対策基準のガイドラインを設ける。
1.参加者情報について
事前に次の事項の書類を明記してもらう。情報は最低期限1年以上保管する。個人情報の取扱いには十分注意する。
1本人氏名、住所、年齢、連絡先、緊急連絡先
2免責同意書
3健康状態・既往歴など体調に関する情報
4未成年者は保護者の同意書
2.引率人数について
参加者全体を把握でき、なおかつ緊急時において適応できる適切な人数
の設定を行う。
11名のガイドが引率する人数は6名を基本とする。
2参加者の年齢や体力、コンディション等に応じて適切なガイド数を確保する。
3.気象について
常に天候や海況を把握し、無理をせず安全最優先に努める。
1気象庁が発令する警報・注意報及び海上保安庁の防災情報を確認し、プログラムに影響が懸念される場合は活動を控える。
2島の中でも場所によって気象が異なることがあるので、注意深く周りの状況判断に努める。
3日ごろからフィールドの観天望気に努め、判断の一助にする。判断となる情報は各会員に伝達し、共有する。
4波浪・強風・雷注意報が出ている場合は、プログラムの変更または中止とする。
4.活動について
1開始前に参加者に対し安全面への心構えなどについて説明を行う。
2参加者の体調をチェックする。
3参加者の経験の有無、体力・年齢などを把握し、フィールドのコンディションをチェックしながら、安全を最優先したコースプランを立てる。
4トラブルを未然に防ぐため準備体操やストレッチなどを行う。
5安全の基本装備(GPS付携帯電話、予備電池、救急箱などを防水ケースに入れる)を準備する。
6活動の内容を事前に第三者へ伝える。また、終了後の報告を怠らない。
7活動中において、定期的に気象庁の情報を入手したり状況を第三者へ伝える。
※各プログラムにおいてのガイドラインは別に定める。
5.緊急時の対処について
1緊急事故発生時は、その場でできうる限りのレスキューを施し、関係機関(消防119、海上保安庁118、警察110)と当協議会本部にすみやかに連絡する。
2人命を最優先に関係機関、会員、船舶を所有する業者、地域などと連携・協力をして最善の努力をする。
3会員は緊急連絡網を活用して情報を共有し、迅速な救助体制をとる。協力を惜しまない。
4事故を想定し、事前防止の対策を講じる。
6.ガイドの資格について
1水上安全法や救急蘇生法などの講習や訓練を定期的に受ける。
2常に安全スキルのレベルアップに努め、訓練を重ねる。
3ガイドは心身ともに万全の体調で業務にあたること。
「シュノーケリング ガイドライン」
1.事前説明
@バディシステム・水中サインを確認する。
Aフィールドの特性(リーフカレントの発生箇所など)、危険な海洋生物など説明する。
Bサンゴ類の保護・海洋生物の保護などフィールドの環境保全について説明する。
2.基礎練習
@マスク・シュノーケル・フィンの装着方法。
Aシュノーケルでの呼吸法・シュノーケルクリア・マスククリア・フィンの使い方。
Bシュノーケルセットでの泳ぎ方・立ち方など。
3.シュノーケリング
@バディシステムのチェック。
A参加者の様子をこまめに観察し、コミュニケーションをとる。
B泳力・体力・年齢・経験等を考慮し、グループ管理に配慮する。
4. シュノーケル器材
@マスク・シュノーケル・フィン・ウェットスーツなどの器材は、メンテナンスされた良質のものを使用する。
A浮力や体の保護・保温のためにシュノーケリング時には、原則としてウェットスーツを着用とする。
B参加者の浮力を確保する為に、レスキューチューブ、救命浮環、ライフジャケット等の準備を怠らない。
5. トラブル発生時の対策
@海洋生物(クラゲ類・魚類など)による刺傷は、その場で適切な処置を施し、必要に応じて医療機関に搬送する。
「カヌー・カヤック ガイドライン」
1. 事前説明
@カヌー・カヤック(以下カヌー)の操作上の注意や乗船中の禁止事項などを説明する。
Aフィールドの特性(危険箇所、潮位・潮流・風浪の影響など)を説明する。
Bカヌーで航行するフィールドの環境保全について説明する。
2. 基礎練習
@パドルの持ち方・動かし方、カヌーへの乗り込み方・降り方。
Aカヌーの基礎テクニック(前進・後進・変針・停止など)。
3. カヌーの実践
@使用するフィールドは必ず事前に調査し安全を確認する。
A参加者の技術レベル・体力などを的確に判断し、無理のないツアーを開催する。
4.使用する器材・装備
@使用するカヌーは石垣海上保安部へ登録し、登録シールをカヌーへ取り付ける。または、登録番号を明示する。
Aカヌーは様々なタイプがあり、その特徴と特性を熟知しフィールドに適した艇を使用する。
Bカヌーに乗る際は必ずライフジャケット等の浮力体を着用する。
Cカヌーのタイプやフィールドによっては、転覆しても沈まないようにカヌー自体にも浮力体を装備する。
D器材・装備のトラブル防止のため、常にメンテナンスを怠らないこと。
「山および河川(マングローブ域を含む) ガイドライン」
1. 事前説明
@ルート及び行程を確認する。
Aフィールドの特性(危険箇所・危険生物など)、行動中の注意点を説明する。
B野生動植物の保護、フィールド環境保全について説明する。
2. フィールドでの実践
@必ず現地の下見をして危険箇所・危険生物の存在を確認しておく。
A落雷・豪雨・日差しの強弱などその日の天候を予測し行動に役立てる。
B装備の点検をする。
C参加者の年齢・体力および疲労度に配慮し、無理のないツアーを開催する。
3. 装備・使用器材
<共通装備>
救急医療セット(吸毒セット、傷バン、三角巾、包帯、脱脂綿、シップ薬、消毒液、抗ヒスタミン入りステロイド軟こう、アルコールなど)
携帯電話、ロープまたは細引き、コンパス
<個人装備>
(山の場合)
トレッキングシューズまたはゴム長、タオル、水、軍手、雨具
(渓流の場合)
フェルトソールのマリンブーツか地下足袋とワラジのセット、タオル、
水、軍手、雨具
(マングローブの場合)
マリンシューズまたはスポーツサンダル、ツバ広の帽子(クバ傘や麦藁帽子)、スポーツタオル(大きめの物)、日焼け止め、水、雨具
4. 緊急時の対策
1予定票の作成(第三者に知らせるために)
引率者の氏名、パーティーの人数、登山ルート、開始時間、下山予定時間を第三者または当協議会に連絡する。(予定時間を過ぎても戻らない場合、は、引率ガイドへの連絡を試みるように伝える。連絡が取れない場合は関係機関に連絡後、捜索準備を開始する。)
2事故者および他の参加者の安全確保
二次被害が起きないように安全な場所へ移動する。参加者は引率ガ
イドの指示で動くことを再度徹底する。
ガイドはそれぞれのケースに従って適切な指示を出す。
B 関係機関への連絡
事故が起きて自力下山ができない場合は、現在地から近いピークに
登るか、山を下り、速やかに警察および消防、沿岸レジャー安全協
議会に連絡する。
■環境保全ガイドライン■
石垣島における持続可能な観光の発展のため、環境保全基準のガイドラインを設ける。
1.事前説明
フィールドの特徴や生態系を参加者に説明し、負荷を与えないよう、協力してもらいながらプログラムを催行する。
2.技術指導
正しい道具の使い方や技術を指導することで、自然環境に与えるダメージを最小限に防ぐ。
3.参加者数
自然に対してできるだけ負荷を与えないような参加者数とする。
4.器材
自然への負荷の少ない、そのフィールドにふさわしい器材を使用する。
5.プログラム設定
@自然に対してできるだけ負荷を与えないように、潮汐・季節を考慮したプログラム設定を行う。
A自然を利用する総時間を抑制する事により負荷の軽減を図る。
B一年のうちの一定期間をフィールドに立ち入らないようにするなど、動植物の回復の期間を設ける。
6.フィールドの選定
貴重な動植物が認められるなど自然保護が優先される地域においては
プログラムのフィールドとして利用しない。
7.動植物の持ち出し
条例で持ち出しが禁止されている動植物以外でも、自然へ何らかの負荷を与える可能性がある動植物は持ち帰らせない。
8.餌付けの禁止
動物への餌付け行為は、動物の健康を害し、生態系のバランスを崩し、また、水質の汚染なども招くために、これを行わない。
9.啓発
@参加者が、環境問題や自然保護に対して意識が上がるように努める。
A参加者以外の人に対しても、自然に負荷を与えている行動をしているのを見た場合、自然に対するマナーを伝える。
B地域住民に対して、自然のことや自然との正しい付き合い方を知ってもらうための啓発活動を積極的に行う。
「サンゴ礁域」
1.シュノーケリング
@サンゴに接触するような浅い場所や潮位では、立ち泳ぎをしないようにする。
Aシュノーケリングの途中で休憩が必要な場合は、サンゴやその他の生物のいない場所を選んで足を着くようにする。
B足が着かない水深やサンゴなどが多く足を着かせたくないフィールドでは、レスキューチューブや救命浮輪を用意する。
Cサンゴなどへの接触をさけるため、フィンの使い方や起き上がり方を正しく指導する。
2.カヌー
パドルでサンゴを折らないように指導する。
3.船舶
停泊場所でアンカリングする場合、サンゴや生物に負荷を与えない場所を選ぶ。
4.その他
@干出したサンゴ礁を歩く場合、サンゴなどを踏まないように「わたんじ」など生物への影響の少ない場所を選ぶ。
A干潮時にサンゴに接触する可能性があるフィールドには入らないようにする。
「マングローブ域」
1,カヌー
1動植物への影響を考え、カヌーを干潟などで引きずらないようにする。
2カヌーでのアプローチの場合はヒルギなどの植物にダメージをあたえないコースを選ぶ。
2.トレッキング
@干潮時の干潟などを歩く場合、同じ場所を歩き踏み固めることで生物に影響がでないよう、毎回ルートを変えるなどの配慮をする。
A水鳥などの野鳥を驚かせないように、季節やフィールドを考慮してプログラムを組む。
B自然に落ちているヒルギの胎生種子の持ち帰りや植樹を行わないようにする。
「山岳域」
1.トレッキング
@同じ場所を歩き踏み固めることで生物に影響がでないよう、毎回ルートを変えるなどの配慮をする。
A既に他者によるルートを示すため目印があるところには新たな目印をつけない。
3景観を損ねるような派手な目印をつけない。
4ルートを示すロープやビニール紐は利用が終わったら、付けっぱなしにせずに自らの責任で回収する。